動的ホスト構成プロトコル (DHCP) データベースのバックアップを維持することで、ハードディスク障害などによる DHCP データベースの消失や破損が発生した場合のデータの消失を防止できます。DHCP サーバー サービスでは、3 種類のバックアップ方法をサポートしています。

  • 自動的に行われる同期バックアップ。既定のバックアップ間隔は 60 分です。このバックアップ間隔は、次のレジストリ エントリを編集することで変更できます。

    HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Services\DHCPServer\Parameters\BackupInterval

    注意

    レジストリを正しく編集しないと、システムが正常に動作しなくなる場合があります。レジストリを変更する前に、コンピューター上の重要なデータのバックアップを作成する必要があります。

  • DHCP コンソールで backup コマンドを使用して実行される非同期 (手動) バックアップ。

同期または非同期バックアップが行われると、DHCP データベース全体が保存されます。保存対象には、以下が含まれます。

  • スーパースコープとマルチキャスト スコープを含むすべてのスコープ

  • 予約

  • リース

  • サーバー オプション、スコープ オプション、予約オプション、およびクラス オプションを含むすべてのオプション

  • DHCP サーバーのプロパティで設定されているすべてのレジストリ キーとその他の構成設定 (たとえば、監査ログ設定やフォルダーの場所設定など)。これらの設定は次のレジストリ サブキーに格納されます。

    HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Services\DHCPServer\Parameters

DHCP サーバーが DHCP クライアント コンピューターをドメイン ネーム システム (DNS) に登録するときに使用する DNS 動的更新資格情報 (ユーザー名、ドメイン、およびパスワード) は、どのバックアップ方法でもバックアップされません。

バックアップ場所

ここでは、DHCP データベースとそのバックアップ ディレクトリは既定のドライブとパスに配置されることを前提とします。DHCP データベースの既定のバックアップ パスは %systemroot%\System32\Dhcp\Backup です。データベースのバックアップ フォルダーは、手動バックアップ中に別のローカル フォルダーを選択するか、DHCP サーバーのプロパティでバックアップ フォルダーの場所を変更することによって変更できます。

バックアップ戦略を計画するときは、次の点を考慮します。

  • 同期バックアップは、DHCP サービスの実行中に実行されます。同様に、非同期 (手動) バックアップを実行するときは、データベースを新しいサーバーに移動する場合を除いて、DHCP サービスを停止する必要はありません。

  • DHCP データベースのバックアップ フォルダーの場所は、ローカル パスにする必要があります。

  • DHCP サーバーのバックアップは、DHCP サービスがインストールされているのと同じハード ドライブには保存しないでください。さらに、バックアップ フォルダー用のアクセス制御リスト (ACL) には、メンバーとして Administrators グループと DHCP Administrators グループだけが含まれていることを確認してください。手動バックアップの実行に加え、テープ ドライブなどの他の場所にもバックアップし、承認されていないユーザーがバックアップ コピーにアクセスできないことを確認します。この目的のために Windows バックアップを使用できます。

この手順を実行するためには、DHCP サーバーにおける Administrators グループまたは DHCP Administrators グループのメンバーシップが最低限必要です。

DHCP データベースをバックアップするには
  1. DHCP Microsoft 管理コンソール (MMC) スナップインを開きます。

  2. コンソール ツリーで、構成する DHCP サーバーをクリックします。

  3. [操作] メニューの [バックアップ] をクリックします。

  4. [フォルダーの参照] ダイアログ ボックスで、バックアップ DHCP データベースを保存するフォルダーを選択し、[OK] をクリックします。

その他の考慮事項

手動で作成された DHCP データベースのバックアップを、DHCP サーバーが 60 分間隔で作成する同期バックアップと同じ場所に保存した場合、手動バックアップは、自動バックアップが行われたときに上書きされます。

DHCP データベースの復元

DHCP サーバーの復元は、そのデータベースが破損したか失われている状況で役に立ちます。データベースを正常に復元するには、データベースを定期的にバックアップする必要があります。既定では、DHCP は、同期バックアップを 60 分間隔で実行し、%systemroot%\System32\Dhcp\Backup フォルダーに保存しますが、手動バックアップを実行することも、バックアップ ソフトウェアを使用してデータベースを別の場所にコピーすることもできます。

DHCP データベースは、データベース ファイル Dhcp.mdb のバックアップ コピーから、DHCP スナップインの [操作] メニューの [復元] コマンドを使用して復元できます。Dhcp.mdb のバックアップ コピーから DHCP を復元すると、次の情報がサーバー上に構成されます。

  • スーパースコープとマルチキャスト スコープを含むすべてのスコープ

  • 予約

  • リース

  • サーバー オプション、スコープ オプション、予約オプション、およびクラス オプションを含むすべてのオプション

  • DHCP サーバーのプロパティで設定されているすべてのレジストリ キーとその他の構成設定 (たとえば、監査ログ設定やフォルダーの場所設定など)。

DHCP サーバーが DHCP クライアント コンピューターをドメイン ネーム システム (DNS) に登録するときに使用する DNS 動的更新資格情報 (ユーザー名、ドメイン、およびパスワード) は、どのバックアップ方法でもバックアップされません。したがって、復元手順でこれらの情報が復元されることはありません。DHCP データベースの復元後に、サーバーの資格情報を構成し、サーバーの状態の設定も行ってください。

この手順を実行するためには、DHCP サーバーにおける Administrators グループまたは DHCP Administrators グループのメンバーシップが最低限必要です。

DHCP データベースを復元するには
  1. DHCP スナップインを開きます。

  2. コンソール ツリーで、構成する DHCP サーバーをクリックします。

  3. [操作] メニューの [復元] をクリックします。

  4. [フォルダーの参照] ダイアログ ボックスで、バックアップ DHCP データベースが格納されているフォルダーを選択し、[OK] をクリックします。

  • DHCP データベースを復元するため、DHCP サービスは一時的に停止されます。サービスが停止されている間、DHCP クライアントは DHCP サーバーにアクセスして IP アドレスを取得することはできません。
  • 復元できるのは、同じ言語バージョンの DHCP データベースのみです。たとえば、英語版のオペレーティング システムを実行する DHCP サーバーの DHCP データベースを、日本語版のオペレーティング システムを実行する DHCP サーバーで復元することはできません。

この手順で、1 台のサーバー コンピューター (移動元サーバー) から別のサーバー コンピューター (移動先サーバー) に DHCP データベースを移動することもできます。

その他の資料

関連情報を提供しているヘルプ トピックの一覧については、「DHCP サーバーの役割で推奨されるタスク」を参照してください。

DHCP に関する IT 専門家向けの最新の詳細情報については、Microsoft TechNet Web サイトにある Windows Server 2008 のドキュメント (英語の可能性あり) を参照してください。


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