DNS サーバーを計画する

ネットワークで DNS サーバーを計画および展開する場合は、ネットワークのいくつかの側面と、ネットワークで使用する予定があるすべての DNS サーバーの処理容量要件を検討します。DNS サーバーの処理容量の計画で考慮する必要があるいくつかの問題を次に示します。

• DNS サーバーが読み込み、ホストするゾーンの数はどれくらいか。
  
  
• サービスを提供するためにサーバーが読み込む各ゾーンの大きさ (ゾーン ファイルのサイズまたはゾーンで使用されるリソース レコードの数に基づく) はどれくらいか。
  
  
• マルチホーム DNS サーバーの場合は、サーバーが接続する各サブネットで DNS クライアントをリッスンし、これらにサービスを提供するために有効にするインターフェイスの数はどれくらいか。
  
  
• DNS サーバーはそのクライアントから合計でどのくらいの量の DNS クエリ要求を受け取り、サービスを提供するのか。
  
  

多くの場合、DNS サーバーに増設する RAM が多いほど、顕著なパフォーマンスの向上を期待できます。これは、起動時に DNS サーバー サービスが、その構成されたすべてのゾーンをメモリに完全に読み込むからです。サーバーが多くのゾーンを読み込み、ゾーン クライアントに対して動的更新が頻繁に発生する場合、さらにメモリを増設すると有効です。

DNS サーバーは次のようにシステム メモリを使用します。その一般的な使用容量に注意してください。

• DNS サーバーをゾーンなしで起動する場合、約 4 MB の RAM を使用します。
  
  
• サーバーにゾーンまたはリソース レコードを追加するたびに、DNS サーバーはそれに応じてサーバーのメモリを使用します。
  
  
• サーバー ゾーンにリソース レコードを追加するたびに、平均して約 100 バイトのサーバー メモリを使用すると推定されます。
  
  たとえば、1,000 のリソース レコードを含むゾーンをサーバーに追加する場合、約 100 KB のサーバー メモリが必要です。
  
  

DNS サーバーの計画を立てる場合は、最初に、DNS 開発チームやテスト チームによって実施されたサンプル DNS サーバーのパフォーマンス テストの結果を検討します。さらに、監視ツール用として提供されている DNS サーバー関連のカウンターを使用して、自分でパフォーマンスを測定することもできます。

	重要
	これまでに述べた推奨事項は、DNS サーバーの最大パフォーマンスまたは制限を示すことを意図したものではありません。これらの数字は概算値であり、ゾーンに含まれるリソース レコードの種類、同じ所有者名のリソース レコード数、および特定の DNS サーバーで使用するゾーン数によって変動します。

ほとんどの場合、DNS サーバーはすべてのドメイン コントローラーに配置します。ただし、すべてのドメイン コントローラーに DNS サーバーを展開する必要がない場合は、次のガイドラインに従って DNS サーバーの配置場所を選択します。

一般的に、DNS サーバーは、ネットワークでクライアントが集中的にアクセスできる場所に配置します。多くの場合、各サブネットで 1 台の DNS サーバーを使用することが最も実用的です。DNS サーバーがどこで必要なのかを判断する場合、次の要素について考慮します。

• AD DS をサポートする DNS を展開する場合、DNS サーバー コンピューターはドメイン コントローラーでもあるのか、または将来的にドメイン コントローラーとする予定があるのか。
  
  
• DNS サーバーが応答しなくなった場合、そのローカル クライアントは代替 DNS サーバーにアクセスできるのか。
  
  
• DNS サーバーがそのクライアントの一部から離れたサブネット上に配置されている場合、ルーティングされた接続が応答しなくなったときに、他のどの DNS サーバーまたは名前解決オプションを利用できるのか。
  
  

たとえば、ルーティングされたローカル エリア ネットワークと信頼性のかなり高い高速リンクを使用する場合は、複数のサブネットで構成される比較的大規模なネットワーク領域に対して 1 台の DNS サーバーで対応できることがあります。また、単一サブネット設計で多くのクライアント ノードを設けた場合、このサブネットに対して複数の DNS サーバーを使用して、優先 DNS サーバーが応答を停止したときにバックアップとフェールオーバー機能を提供することもできます。

必要な DNS サーバーの台数を決定する場合、ゾーン転送の影響と、ネットワークの低速リンク上の DNS クエリ トラフィックを評価します。DNS はローカル サブネット間のブロードキャスト トラフィックを削減するように設計されていますが、サーバーとクライアント間である程度のトラフィックは発生するため、確認が必要です。特に、複雑にルーティングされたローカル エリア ネットワーク (LAN) またはワイド エリア ネットワーク (WAN) 環境で DNS サーバーを使用する場合は、これを確認してください。

WAN 接続でよく使用される低速リンクなどの比較的低速なリンクでは、ゾーン転送の影響を考慮します。DNS サーバー サービスは増分ゾーン転送をサポートしており、DNS クライアントとサーバーは最近使用した名前をキャッシュに格納できますが、それでもトラフィックが問題になることがあります。特に、動的ホスト構成プロトコル (DHCP) リースが短縮され、その結果 DNS での動的更新がより頻繁に行われる場合に問題になります。WAN リンク上の遠隔地を処理するオプションとしては、これらの遠隔地に DNS サーバーを設定して、キャッシュ専用の DNS サービスを提供する方法があります。

ほとんどの設置場所では、フォールト トレランスの観点から、少なくとも 2 台のサーバー コンピューターで各 DNS ゾーンをホストすることが望まれます。使用するサーバー数について最終的に決定する際には、まず、ネットワークに対して適切なフォールト トレランスのレベルを評価します。

単一サブネット環境の小規模な LAN で 1 台の DNS サーバーを使用する場合、そのサーバーでゾーンのプライマリ サーバーとセカンダリ サーバーの両方をシミュレートするように構成できます。