Windows Server® 2008 R2 の Web サーバー (IIS)の役割を使って、インターネット、イントラネット、またはエクストラネット上のユーザーと情報を共有することができます。Windows Server 2008 R2 では、IIS、APS.NET、および Windows Communication Foundation を一体化した統合 Web プラットフォームである IIS 7.5 が提供されています。IIS 7.5 では、次の機能追加および強化が行われています。

  • 統合された拡張子

    • WebDAV と FTP

    • 要求フィルター

    • Administration Pack モジュール

  • 管理機能の強化

    • ベスト プラクティス アナライザー

    • Windows PowerShell™ 用 IIS モジュール

    • 構成のログとトレース

  • アプリケーション ホスティングの強化

    • サービスのセキュリティ強化

    • 管理されたサービス アカウント

    • ホスト可能な Web コア

    • FastCGI の失敗した要求のトレース

  • Server Core での .NET サポートの強化

次のセクションでは、Web サーバー (IIS)の役割、IIS Web サーバーの必須およびオプションの機能、および IIS Web サーバーの実行に使用されるハードウェアとソフトウェアについて学習します。このトピックの終わりには、Web サーバーのインターフェイスを開く方法と、IIS Web サーバーに関する情報をさらに詳しく検索する方法について学習します。

Web サーバーとは?

Web サーバーとは、クライアント コンピューターからの要求を受信し、それらの要求に応答するための特定のソフトウェアをインストールしたコンピューターです。Web サーバーを使用すると、インターネット上で、またはイントラネットやエクストラネットを通して情報を共有できます。

IIS 7.0 Web サーバーを使用すると、次のことが可能になります。

  • インターネット上のユーザーに情報を提供できる。

  • FTP や WebDAV (Web Distributed Authoring and Versioning) を通してユーザーがコンテンツをダウンロードおよびアップロードできる。

  • 3 層アプリケーション用のビジネス ロジックを含む Web サービスをホスティングできる。

  • フロッピー ディスクや CD などの物理的な媒体を利用しないで、インターネット上でアプリケーションをユーザーに配布できる。

Web サーバーは、さまざまなユーザーとそのニーズに対応できます。その例を次に示します。

  • スモール ビジネスのオーナーは、簡単な Web サイトを使用して自分たちのサービスに関する情報を提供できます。

  • 中規模のビジネスのオーナーは、サイト内のさまざまなアプリケーションで構成されたオンライン注文システムを使用して商品やサービスを提供できます。

  • エンタープライズ ビジネスでは、企業のイントラネットを通して従業員向けのビジネス アプリケーションを開発し、提供できます。

  • ホスティング会社は、さまざまなオンライン コンテンツやアプリケーションをホスティングするためのサーバー空間とサービスをユーザーに提供できます。

  • 企業は、エクストラネットを利用してビジネス パートナーに必要とされる情報やアプリケーションを提供できます。

Windows Server 2008 R2 における Web サーバーの役割の新機能

次のセクションでは、Windows Server 2008 R2 の Web プラットフォームである IIS 7.0 の機能と強化ポイントについて説明します。

統合された拡張子

新しい IIS 7.5 では、IIS 7.0 で導入された拡張可能なモジュール アーキテクチャに基づいて、既存の拡張子を統合および強化するだけでなく、さらなる拡張性とカスタマイズの機能を提供しています。

WebDAV と FTP

IIS 7.0 で提供される WebDAV および FTP 機能は、数多くの新機能が組み込まれ、大幅に強化されました。これらの新しい機能によって、Web の作成者は以前と比べ、より信頼のおける安全な方法でコンテンツを公開できるようになりました。また、新しい FTP モジュールと WebDAV モジュールは、Web サーバー管理者が認証、監査、ログ記録を行う際の選択肢を数多く提供しています。

要求フィルター

以前は IIS 7.0 の拡張機能として提供されていた要求フィルター モジュールを使用することにより、特定の HTTP 要求を制限またはブロックできるため、有害な可能性のある要求をサーバーが受信しないようにするうえで役に立ちます。

Administration Pack モジュール

以前は IIS Administration Pack の一部として提供されていた IIS 7.0 用の拡張モジュールに、IIS マネージャーから IIS 7.5 Web サーバーを管理するために役立つツールが追加されました。これらのモジュールには構成エディターおよび UI 拡張機能が含まれており、要求フィルタリング規則、FastCGI、ASP.NET アプリケーションの設定の管理に役立ちます。

管理機能の強化

IIS 7.5 では、IIS 7.0 と同じ分散および委任された管理アーキテクチャが採用されていますが、新しい管理ツールも提供されています。

ベスト プラクティス アナライザー

ベスト プラクティス アナライザー (BPA) は、サーバー マネージャーおよび Windows PowerShell から使用できる管理ツールです。BPA を使用すると、IIS 7.5 Web サーバーのスキャンが実行され、構成上の問題の可能性が検出された場合に報告されるため、管理者はベスト プラクティスの違反を削減できます。

Windows PowerShell 用 IIS モジュール

Windows PowerShell 用 IIS モジュールは、Windows PowerShell スナップインです。これを使用して、IIS 7.0 の管理タスクを行ったり、IIS 構成データとランタイム データを管理できます。さらに、タスク指向の cmdlet のコレクションを使用すると、Web サイト、Web アプリケーション、および Web サーバーを簡単に管理できます。

構成のログとトレース

イベント ビューアーで使用可能となった新しいログを有効にすることによって、構成のログとトレースを使用して IIS 構成へのアクセスを監査したり、変更の成功や失敗を追跡できます。

アプリケーション ホスティングの強化

IIS 7.5 は、セキュリティを強化し、診断を改善するうえで役立つさまざまな新しい機能を提供しており、ASP.NET や PHP など、数多くの種類の Web アプリケーションにとって、より柔軟性と管理性に優れたプラットフォームとなっています。

サービスのセキュリティ強化

セキュリティと信頼性が向上した IIS 7.0 アプリケーション プール分離モデルに基づいて構築された IIS 7.5 アプリケーション プールは、それぞれが各プロセスをより権限の低い一意の ID として実行するようになりました。

管理されたサービス アカウント

ホスト コンピューターによって管理されているパスワードを使用するドメイン アカウントが、IIS 7.5 のサービス ID としてサポートされるようになりました。これにより、サーバー管理者はアプリケーション プールのパスワードの有効期限について考慮する必要がなくなります。

ホスト可能な Web コア

他のアプリケーションが、コアとなる IIS Web エンジンのコンポーネントを使用したり、ホストできるようになりました。これにより、IIS 7.0 のコンポーネントは、HTTP 要求を直接アプリケーション内で処理できます。これは、カスタム アプリケーション向け、またはアプリケーションのデバッグ向けに基本的な Web サーバー機能を有効にする場合に役立ちます。

FastCGI の失敗した要求のトレース

IIS 7.5 では、FastCGI モジュールを使用する PHP 開発者は各自のアプリケーション内で IIS の呼び出しのトレースを実装できます。開発者は、IIS の失敗した要求のトレースを使用し、開発中のコードをデバッグすることによって、アプリケーション エラーのトラブルシューティングを行うことができます。

Server Core での .NET サポートの強化

Windows Server 2008 R2 の Server Core インストール オプションでは、.NET Framework 2.0、3.0、3.5.1、および 4.0 をサポートしています。したがって、ASP.NET アプリケーションをホストしたり、IIS マネージャーからリモート管理タスクを実行したり、Windows PowerShell 用 IIS モジュールに含まれている cmdlet をローカルで実行することができます。

Web サーバーの役割のハードウェアとソフトウェア

Web サーバーの役割のハードウェアとソフトウェアの要件は、Windows Server 2008 R2 の要件と同じです。パフォーマンス カウンター、研究テストの結果、実稼働環境の既存のデータ、およびパイロット版の公開を使用して、使用するサーバーに必要な容量を決定し、必要に応じて調整してください。

IIS Web サーバーをインストールする

オペレーティング システムをインストールすると、初期構成のタスク一覧が表示されます。Web サーバー (IIS)の役割をインストールするには、タスクのリストで [役割の追加] をクリックし、[Web サーバー (IIS)] をクリックします。IIS のインストールの詳細については、「インストール」を参照してください。

IIS Web サーバーを管理する

IIS をインストールしたら、次の手順に従って Windows Server 2008 R2 または Windows® 7 上で IIS マネージャーを開きます。

Windows Server 2008 R2 で IIS マネージャーを開くには
  • [スタート] メニューで [管理ツール] をポイントし、[インターネット インフォメーション サービス (IIS) マネージャー] をクリックします。

Windows 7 で IIS マネージャーを開くには
  1. [スタート] メニューの [コントロール パネル] をクリックします。

  2. [コントロール パネル] の [システムとメンテナンス] をクリックします。

  3. [システムとメンテナンス] の [管理ツール] をクリックします。

  4. [管理ツール] の [インターネット インフォメーション サービス (IIS) マネージャー] をクリックします。

詳細情報

Web サーバーの役割について詳しく知りたい方は、ご使用のサーバーのヘルプをご確認ください。ヘルプを表示するには、前のセクションの手順に従い IIS マネージャーを開き、F1 を押します。

Web サーバーの役割の詳細については、Web で Windows Server 2008 R2 に関するトピックを参照してください。


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