グラフィカル ユーザー インターフェイスは、ほとんどのコンピューター ユーザーが慣れ親しんでいる、いくつかの基本的なコンセプトを基に設計されています。ユーザーは、こうした使い慣れたインターフェイスを使って作業を行います。特定の機能にアクセスするためのドロップダウン メニューや、状況に応じた機能へのアクセスを可能にするコンテキスト メニューなど、利用できる項目がオペレーティング システムによってグラフィカルに表現されます。

Windows PowerShell のようなコマンドライン インターフェイス (CLI) の場合、これとは異なるアプローチでユーザーに情報を提供する必要があります。ユーザーを導くようなメニューやグラフィカル システムが存在しないためです。コマンド名を知らなければ、コマンド ライン インターフェイスを使用することはできません。GUI 環境に匹敵する複雑なコマンドを入力することもできますが、使用頻度の高いコマンドやコマンド パラメーターに精通している必要があります。

大半の CLI には、インターフェイスへの習熟を助ける一定の規則というものがありません。もともと、CLI は初期のオペレーティング システムのシェルとして採用されたものであるため、コマンド名やパラメーター名の多くは、名前を付ける人の独断で決められていました。コマンド名を決めるにあたっては、わかりやすさよりも、簡潔さが優先されていたのが一般的です。多くの CLI にはヘルプ システムが取り入れられ、コマンド設計上の標準も存在します。しかし、それらは古いコマンドとの互換性を目的に作成されているため、コマンド セットは、数十年も前の意思決定に基づいて形成されていると言えます。

Windows PowerShell は、CLI に関してユーザーがこれまで蓄積してきた知識を再利用できるように設計されています。この章では、Windows PowerShell をすぐに使い始めることができるように、いくつかの基本的なツールと概念について説明します。次の内容が含まれています。

  • Get-Command の使用

  • Cmd.exe と UNIX コマンドの使用

  • 外部コマンドの使用

  • タブ補完の使用

  • Get-Help の使用




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