NIS サーバーは、Windows ベースの Active Directory® ドメイン サービス (AD DS) のドメイン コントローラーが 1 つ以上の NIS ドメインに対する NIS マスター サーバーの役割を果たせるようにすることによって、Microsoft Windows と NIS (ネットワーク情報サービス) ネットワークを統合します。

NIS サーバーの動作

NIS サーバーは、標準および非標準 NIS マップ データを AD DS に保存します (標準マップは、aliasesbootparamsethershostsgroupnetgroupnetidnetmasksnetworkspasswdprotocolsrpcservicespservers、および shadow で構成され、その他のマップはすべて非標準マップです)。このように NIS サーバーは、Windows および NIS ドメインに対して、単一のツールセットを使用して Windows 管理者が管理できる、単一の名前空間を作成します。管理者は、Windows および UNIX ドメインに対するユーザー アカウントを、同時かつ簡単に作成、変更、および削除できます。Windows 環境と UNIX 環境の両方でアカウントを持つユーザーを、各ドメインおよび名前空間用に必要なすべての属性を使用して、AD DS によって管理できます。

さらに、NIS サーバーを同じドメイン上の別のドメイン コントローラーに NIS マスター サーバーとしてインストールし、それらのドメイン コントローラーを NIS 下位サーバーとして機能させることができます。この場合、Active Directory にある NIS データは、NIS サーバーが実行されている Windows ドメイン コントローラー間で自動的にレプリケートされます。さらに、UNIX ベースのコンピューターは、NIS ドメイン内で引き続き下位サーバーとして機能できます。NIS サーバーは、UNIX ベースの NIS マスター サーバーと同様に、yppush を使用して NIS データに対する変更を UNIX ベースの NIS サーバーに伝達します。

NIS サーバーの設定手順

NIS サーバーをインストールしたら、NIS マップを UNIX ベースの NIS サーバーから NIS サーバーが実行されているコンピューターに移行します。NIS サーバーで提供されている Windows ベースの移行ウィザードを使用することも、またはコマンド ライン ユーティリティを使用して移行を完了することもできます。NIS ドメイン用のマップを移行し終えると、NIS サーバーを NIS ドメインに対するマスター サーバーとして展開する準備が完了します。複数の NIS ドメインを、同じ Windows ベースの AD DS ドメイン コントローラーに移行できます。これらのドメインは、マージすることも、別個のままとすることも可能です。NIS マップを一度に 1 つずつ移行することにより、段階的に NIS マップ データを移行できます。

NIS サーバーでは、複数の NIS ドメインを同時にサポートできます。複数のドメインに属するマップも、Active Directory に共存できます。ドメイン内のクライアントまたはその他のサーバーからの要求では、同一ドメインのマップからデータを受信します。

NIS サーバーの管理

NIS サーバーは、Windows ベースの UNIX 用 ID 管理を使用して管理できます。[Active Directory ユーザーとコンピューター] などの Windows ベースのツールを使用して、AD DS に移行した passwdgroup、および hosts マップを管理できます。さらに、コマンド ライン ツールの nismap および nisadmin を使用して、標準および非標準マップをすべて管理し、NIS サーバーを管理できます。Windows 管理ツールを使用して、NIS サーバーのパフォーマンスをモニターできます。たとえば [イベント ビューアー] を使用して、NIS サーバーでログ記録された特定のイベントおよびエラーを監査します。

Windows が提供する管理ツールに加え、ADSI (Active Directory Service Interfaces) または LDAP (Lightweight Directory Access Protocol) を使用して新しい管理ツールを作成できます。

NIS サーバーでは、UNIX ベースおよび Windows ベースの NIS クライアント、およびその他の NIS 下位サーバーからの要求に応えるために必要な NIS リモート プロシージャ コールが実装されています。NIS サーバーはブロードキャスト モードと標準バインディング モードの両方をサポートしています。


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