アコースティック エコーは、電話会議システムではよく発生する問題です。これは、スピーカーから出た音声がマイクにより拾われることにより、ローカル オーディオ ループバックが発生することが原因で、この音声が自分の発した音声と共に会議の相手へと送り返されます。これにより、その他の参加者は話す時に、自分の声のエコーが聞こえます。たとえば、次のようになります。
-
アリスとボブが通話しているか、または電話会議に参加しているとします。
-
アリスが、自分のマイクに向かって話します。
-
ボブには、スピーカーから発せられるアリスの声が聞こえます。
-
アリスの声が、ボブのマイクにより拾われます。
-
アリスには、往復の伝送時間のために少し遅れてアリス自身の声のエコーが聞こえます。
使用するマイクの感度が高すぎることや、スピーカーの音量を大きくしすぎること、また、マイクとスピーカーとの距離を近づけすぎることは、アコースティック エコーが発生したり悪化したりする原因になります。アコースティック エコーは不快なだけでなく、会議の参加者どうしの会話を阻害する可能性があります。
オーディオ ヘッドセットを使用してエコーを排除する
アコースティック エコーを完全に排除する最も簡単な方法の 1 つは、オーディオ ヘッドセットを使用することです。ヘッドセットを使用すると、オーディオは小さい音量で、会議参加者の耳のすぐ近くで再生されます。そのため、この音声信号がマイクにより拾われるのを防ぐことができます。
パーソナル コンピューターで使用できるオーディオ ヘッドセットにはさまざまな製品があります。それらにはサウンド カードのオーディオ ジャックに差し込めるコネクタがあります。また、多くの製品にはマイクが付いているため、参加者が動いたり場所を移したりしても口とマイクの距離が一定に保たれ、高品質の音声を得ることができます。
アコースティック エコー キャンセル機能を使用してエコーを排除する
Windows Vista および Windows Server 2008 では、アコースティック エコー キャンセル (AEC) 機能が TAPI によりサポートされています。AEC の処理では、スピーカーの信号とマイクの信号がデジタル シグナル プロセッサによって電子的に比較され、マイクの信号からスピーカーの信号が減算処理されます。これにより、スピーカーの音声がマイクにフィードバックされてエコーとして伝送されるのを防止できます。